ストーンヘンジを取り巻く先史時代の年表

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ストーンヘンジの基本情報

ストーンヘンジの位置
ストーンヘンジの位置
出典:WikiMedia

「ストーンヘンジ」はイングランド南部ソールズベリーに遺る先史時代の遺跡です。巨大な石を円形に立てて並べたもので、その建設方法や利用目的は謎のままです。

巨石だけでなく周囲に環状に築かれた堀や堤の跡も含めて「ストーンヘンジ」と呼びます。そもそも「ヘンジ」とは「環状の堀と堤」を意味します。観光用の歩道は巨石群には到達しないものの、この堀と堤の跡を横切っています。

写真だけでは全体像が分かりずらいですが、イングリッシュ・ヘリテッジ公式サイトからストーンヘンジの図面をダウンロードできます。

所在
現在のイングランド南部ウィルトシャー州ソールズベリーの北西13km
建造時期
新石器時代 紀元前3000~2300年頃
定義
直径約100メートルのヘンジ(円形の堀と堤)、中央の巨石群と柱穴など円内にあるもの一式および、円外のアベニュー(通路跡)やヒールストーンも含む
特徴
円の内側から見たストーンヘンジ
  • 環状列石の中央には、さらに馬蹄型に巨石が並ぶ
  • 巨石(サーセン/砂岩)…高さ6メートル 重さ40トン
  • ブルーストーン(火山岩)…高さ2メートル 重さ4トン
  • 2つの支柱の上に水平に渡されたブロックは崩れないよう、石と石のつなぎ目に凹凸加工があるなど非常に高い技術

ストーンヘンジの図面

イングリッシュ・ヘリテッジ公式サイトで配布している図面です(PDF)。

THE STONEHENGE LANDSCAPE (ストーンヘンジ周辺の景観図)

イングリッシュ・ヘリテッジ公式サイトのストーンヘンジ周辺の景観図です。タブで時代を切り替えることができ、変化がよくわかります。

世界遺産ストーンヘンジの動画 by UNESCO/NHK

Stonehenge, Avebury and Associated Sites (UNESCO/NHK)
UNESCO 2012/08/22 に公開

ストーンヘンジ年表

環状巨石(青)と、周囲の堀、堤、柱穴
環状巨石(青)と、周囲の柱穴、堀、堤そしてアベニュー

ストーンヘンジはその巨石が運ばれてくる前の状態も含めて、およそ紀元前3000年頃から手掛けられ始めたと考えられています。

堤の内側には、オーブリー・ホールズと呼ばれる56個の穴が環状に並んでおり、ここから紀元前3000年の人骨が発掘されました。木柱あるいは石柱が立てられた痕跡も見つかっています。

しかし、これよりもさらに時代を遡ること数千年、ストーンヘンジの北西すぐそばにも、木柱を立てた跡が見つかっています。

時代を追って見ていくと、次のような流れです。

紀元前8500-7000年頃 中石器時代の柱穴

ストーンヘンジの北西すぐそばに4~5個の柱穴が見つかっており、そのうち3つには木製の柱が建っていた痕跡がありました。これらはストーンヘンジが建てられる以前の中石器時代のものと考えられていますが、後に建てられるストーンヘンジとの関係はまだ知られていません。

紀元前3500年前後 新石器時代の遺跡

ストーンヘンジの北西4㎞に「ロビン・フッズ・ボール」と呼ばれる、丸く囲うように堤を築いた跡があり、紀元前3500年頃のものと推定されています。(伝承の英雄ロビンフッドとは全く関係がないのに、いつからか、このように呼ばれています。しかもボールって…?)

ここには定期的に人々が集い、宴会や儀式を行ったと考えられています。この他にも、この時代のものと見られる大小2つの長方形の土塁や、いくつかの長い塚の跡が周辺エリアから見つかっています。

THE STONEHENGE LANDSCAPE (ストーンヘンジ周辺の景観図)

イングリッシュ・ヘリテッジ公式サイトのストーンヘンジ周辺の景観図です。タブで時代を切り替えることができ、変化がよくわかります。

紀元前3000年頃 ヘンジ着工

紀元前3000年頃に造られた堀と堤の図
紀元前3000年頃から造られた堀と堤、オーブリー・ホールズの図
CC BY-SA 3.0, Link

ストーンヘンジにおいて、現在わかっているなかで最も初期に造られたのは、直径約100メートルの円を囲う堀と堤です。紀元前3000年頃と推定されています。

考古学では「環状に築かれた堀と堤」をヘンジと呼ぶそうです。しかし厳密には、堀が堤の「内側」に築かれているものがヘンジでなので、堀が堤の「外側」に築かれているストーンヘンジは「ヘンジ」ではない…らしいです。ブリテン諸島で見られる多くのヘンジの中で異質だそうですから、気になりますね。

さて、堤の内側にやがて56個の竪穴が円環状に掘られます。木の柱が立てられたと考えられてきましたが、近年の調査で石が立てられていた可能性も出てきました。

この穴からは数十体の火葬された人骨が発掘されており、成人男性がほとんどですが、女性や子供の人骨も含まれていました。一度に埋められたのではなく、紀元前3000年から紀元前2500年の5世紀にわたって随時埋められたことが、放射性炭素年代測定によってわかりました。

もし墓地として機能していたのなら、ブリテン島で発見されている中で最も初期の火葬墓地となるそうです。

紀元前2500年前後 ヘンジの中に巨石を建てる

紀元前2500年頃~のストーンヘンジ
紀元前2500年頃~
CC BY-SA 3.0, Link

紀元前2500年頃、いよいよ中央に巨石が立てられ始めます。

固い砂岩の巨石は、中央に馬蹄型に立てられ、またその周囲に環状に配置されました。ブルーストーンと呼ばれる火山岩は、それらの間に弧形に2列で並べられました。

巨石は高さ6メートル、重さ40~50トンです。北30~40㎞の Marlborough Downs から運ばれたと考えられています。ブルーストーンは、高さ2メートル、重さ約4トンです。約300Km離れたウェールズ南西から運ばれたと考えれています。

数トン~数十トンの石をどのように運び、また凹凸のジョイントをあつらえた巨石をどのように組み立てたのでしょうか。様々なアイディアと実証実験が繰り返されていて、その様子はYoutubeなどにも公開されています。

紀元前2300~2200年頃 ビーカー人の墓 青銅器時代の始まり

ストーンヘンジに巨石が立てられてから200~300年後に、ブルーストーンの配置が変えられました。(これは、さらに後にまた配置換えされます。)

今日アベニューと呼ばれている道の跡も、この頃に造られました。アベニューはストーンヘンジとエイボン川をつないでおり、実用的な道あるいは参道のようなものだったと考えられています。

しかし間もなく、ブリテン島に大きな変化が起こり始めます。ビーカー人と呼ばれる民族の流入です。

彼らは銅器をもたらしました。これによって、ブリテン島は「青銅器時代」に入ることになります。青銅器時代の墓 ビーカー人の作る陶器は鐘を逆さにしたような形で口が広くデザインされており、ブリテン島の原住民のそれらとは明らかな違いがあります。

紀元前1800年~1600年頃 忘れられ始めるストーンヘンジ

ストーンヘンジに青銅器時代の彫刻
青銅器時代の彫刻

環状列石の外側に、穴が環状に2列、掘られました。図面でZホールズ、Yホールズと示されているものです。しかし、これらをどのように使うつもりだったのかはわかりません。穴は数世紀の間に自然に埋まり、この頃を境にストーンヘンジに目立った意匠が付け加えられることがなくなりました。

巨石には、この頃に銅の斧や剣で掘られたとみられる彫刻が残っています。

紀元前700年頃~ 鉄器時代 ケルト文化の流入

紀元前700年頃から、ブリテン島はケルト文化と鉄器の時代に入ります。

近年の発掘と調査

ダーリントン・ウォールズで宴会の痕跡
ダーリントン・ウォールズはストーンヘンジから北東3.2㎞にある新石器時代の大きな集落跡です。 ここから、木でつくられた家の跡が見つかり、大量の豚や牛の骨、陶器が発掘されました。 専門家が、出土した動物の歯の状態から、食肉処理された季節を推定したところ、真夏と真冬であることがわかりました。 また、陶器にしみ込んだ痕跡からは、当時の人々が湯がいた牛や焼いた豚を食べていたことがわかりました。 ダーリントン・ウォールズで夏至と冬至に大規模な宴会があったのではないかとする説があります。
ダーリントン・ウォールズで食された動物が育った地域
食された動物の歯や骨のアイソトープを調べることで、育った場所を推定できるそうです。 その結果、食された動物がブリテン島各地の家畜であったことがわかりました。 人々がブリテン島全土から-その旅路に1ヶ月を要し、独自のヘンジをもつオークニー諸島からさえも-家畜と共にこの地へ集まったのかもしれません。 そうだとすれば「いままで考えられていたよりも規模の大きな話」とのことですから、さらなる調査が待ち遠しいですね。

参考:Ghosts of Stonehenge

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書籍

ケルト文化事典

先史時代のケルト文化の発祥と広がり、中世のケルト圏、近代のケルト復興の動きに関する事柄まで「歴史・社会・言語・宗教・民俗・伝承・文学・芸術」を網羅。定説/諸説に加え、最新の研究にも触れられている。辞典なのでサッと引きやすく、かつ、なぜか単独の読み物としても楽しい。

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