政府御用達「イングランド銀行」の創設

政府御用達「イングランド銀行」の創設

1694年、イングランド銀行が創設されました。政府の資金調達が主な目的でした。オランダ地域における対フランス戦( Nine Years’ War )の戦費を急いでまかなう必要があったのです。イングランド銀行は私立の銀行でありながら、議会法案の可決( Bank of England Act 1694 )を経て、特殊な地位を独占しました。次第に中央銀行としての責任を負うようになり、20世紀に国営化されて現在に至ります。

Battle of Beachy Head (1690) / Nine Years’ war

1694年イングランド銀行が創設される

「銀行が公的資金を融資する」というアイディア

1692年、議会が戦争債務の埋め方を模索しているとき、いちはやく融資を申し出たのがウィリアム・パターソン( William Paterson )でした。パターソンはスコットランド出身の商人です。その富は貿易-しかし主に奴隷貿易-によって築かれました。

William Paterson, from a wash drawing in the British Museum

当初こそ却下されたものの「政府が銀行から公的資金の融資を受ける」という方法の確立に成功します。この計画の草案は、パターソンそしてチャールズ・モンタグ( Charles Montagu )らによって作られました。

政府御用達の私立銀行

1694年にイングランド銀行が創設され、パターソンはその重役に就きます。勅許状によってイングランド銀行は、合資(≒株式)銀行として運営されることが許されました。政府御用達の特別な地位にあり、イングランド銀行は非常に優位な状態で出発しました。イングランドとウェールズにおいては、イングランド銀行以外の合資銀行( Joint-stock bank )は1826年に至るまで許可されませんでした。

The sealing of the Bank of England Charter (1694).

しかしながら創設者のパターソンは、仲間との意見の相違によって、翌年にはイングランド銀行から退くことになります。ロンドンに別の銀行の創設を試みますが、これはうまくゆきませんでした。

基準(中央)となる銀行へ…

イングランド銀行は当初マーサーズホール( Mercers’ Hall )内に置かれ、まもなくグロッサーズホール( Grocers’ Hall )に移されますが、1730年代に現在の場所( Threadneedle Street )に定まりました。このときにはすでにイングランドで最も大きく最も一流の金融機関となっていました。

イングランド銀行の銀行券( Banknote )は広く流通し、結果としてイングランド銀行は他の銀行のための銀行ともなりました。つまり、他の銀行の預金を受け入れたり、通貨価値の基準となったのです。他の銀行はイングランド銀行との通貨価値のバランスを維持することによって、互いに債権債務の決済ができるようになりました。

顧客はゴールドを預けて約束手形を受け取る

ゴールドを預金すると約束手形が手渡されます。この約束手形は、やがて顧客間で売買することも可能になり、流通しました。1759年からは10ポンド紙幣が流通し始めます。約束手形や紙幣はゴールドと交換されるものでしたが、やがて物品や労働力への支払いにも充てられるようになります。

The role of the Bank of England – Part 1: Money

18世紀末から現在まで

18世紀末~19世紀初頭
-不穏なヨーロッパ情勢のなかで

18世紀末から19世紀初頭にかけてのフランス革命とナポレオン戦争は経済的な不安定をもたらし、イングランド銀行を脅かしました。しかしイギリスが参戦すると同時に資金調達が必要となり、イングランド銀行はその恩恵をうけました。

The Great Hall of the Bank of England: This engraving was published as Plate 7 of Microcosm of London (1808)

19世紀
-中央銀行としての責任

19世紀を通じて、イングランド銀行は徐々に中央銀行としての責任を有するようになります。1833年には法定通貨( legal tender )の印刷をはじめました。また最後の貸し手の役割( lender of last resort )そして金準備( gold reserves )も、数十年にわたって担うことになります。

20世紀から…
-国営化

私立銀行だったイングランド銀行は、1946年に国営化されました。公的な融資をおこない、紙幣を発行し、国の金( gold )を管理し、外貨準備( foreign exchange reserves )を行っています。政府の金融政策の重要なアドバイザーであり、政策の実行の責任を負っています。イングランド銀行は、欧州中央銀行のメンバであり、総評議会員です。

The Bank of England building viewed Lombard Street.

参考
William Paterson
Our History | Bank of England
Britannica
History of Britain and Ireland: The Definitive Visual Guide