摂政時代の服装【男性編】時と場所に合わせた装い

摂政時代の服装【男性編】時と場所に合わせた装い

Beau Brummell は、ロンドン社交界のファッションを牽引したひとりです。当時のおしゃれな男性は彼を模倣しました。全ての男性が「ダンディ(dandy)」を目指したわけではありませんが、上流社会においてドレスコードは大切でした。

以下、おもに参考にしたのは『Georgette Heyer’s Regency World』です。20世紀の作家 Georgette Heyer が詳細に調べて何冊もの小説に細かく描写した摂政時代の習慣・風習・流行・生活など…を抽出して凝縮した1冊です。歴史書ではないですが、摂政時代ロマンスを楽しむにはじゅうぶん以上です。

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男性の装いの基本

George “Beau” Brummell, watercolor by Richard Dighton (1805)

帽子(Hats)

「帽子(Hats)」は当時の必須品でした。ビーバーハットが人気だったようです。

シャツ(shirts)

「シャツ(shirts)」は白で、袖をカフスで留めました。

襟(Collars)

「襟(Collars)」はシャツと一体ではなく、別途とりつけ、クラバット(cravat)と呼ばれるスカーフ状の布を巻きました。摂政 / リージェンシー時代、襟を高くするのが流行しました。

A Regency style neckcloth tied in a bow on a starched Grafton collar.

ウエストコート(waistcoats)

シャツの上に着るのは「ウエストコート(waistcoats)」です。着用する人の好みや仕立屋のテイストがここに現れます。シングルブレスト、ダブルブレスト、さまざまな色・柄・素材がありました。背面は無地のコットンかシルクが一般的でした。

コート(Coat)

ウエストコートの上に着るのが「コート(Coat)」です。こちらは無地で、色の幅はありますがダークトーンが一般的です。前面はウエストコートより短く、後方は長い裾でした。1816年から前から後ろまで同じ長さの「フロックコート(frock-coat)」も導入されました。

ブリーチ(breeches) / パンタロン(pantaloons) / トラウザー(trousers)

ボトムスには3つのタイプがあります。「ブリーチ(breeches)」「パンタロン(pantaloons)」「トラウザー(trousers)」です。

ブリーチ

ブリーチは牡鹿のレザーで作られており、やわらかく、とくに乗馬において快適でした。デイウェアとし着てもまったく問題ありません。膝丈ブリーチのインナーはストッキング、あるいは長靴下です。

Costume Parisien fashion plate No.945 from 1809.

トラウザー / パンタロン

デイウェアとしては、パンタロンをブリーチの代わりに着用することもありました。都会では足の形に添うタイトなトラウザーが、デイウェアとして膝丈ブリーチに取って代わりました。トラウザーとパンタロンは似ていますが、トラウザーは足首まわりがすこしワイドになっています。

トラウザーとパンタロンは「ヘッセンブーツ(hessian boots)」または「ハーフブーツ(half-boots)」と合わせて着用されましたが、「トップブーツ(top-boots)」と合わせることはありませんでした。トラウザーは靴(shoes)と合わせることもできました。

コットンまたはリネンでできた膝丈の下着を着ることが多かったようです。

Pink striped waistcoat, blue tight fitting double-breasted coat with hip pocket, velvet collar, narrow tails, padded shoulders, a top hat, nankeen trousers and black pumps.

オーバーコート(overcoat)

寒い日の散策や移動や馬車の操縦には「ドライビングコート(driving-coat)/ ボックスコート(box coat)」を着用しました。ケープの取り外しができ、何枚か重ねることもできました。「ベンジャミン(Benjamin) / トップコート(top-coat)」は、もともと労働者階級が着用していたものを上流社会に採り入れたようです。

Costume Parisien, 15 janvier 1800, An 8 (187)

手袋(gloves)

上流階級の男性は、外出時および公式の場で、手袋(gloves)を着用しました。色や素材やスタイルは状況に合わせました。

アクセサリー(accessory)

杖(cane)、虫メガネ(quizzing glass)、天候によっては傘(umbrellas)を持つこともありました。

男性も時間によって装いを変えました。装いは場所が街であるか田園であるかによって少し変わり、アクティビティの目的によっても着替えました。乗馬には牡鹿レザーのブリーチにトップブーツを合わせ、フォーマルな場では正装し、寝るときはナイトシャツあるいは裸でした。

日中の装い

日中のトップス

シャツ(shirts): 飾りのないプレーンな白シャツ

ウエストコート(waistcoats): 無地のほか、水玉・ストライプ・柄入りもあり、色はグリーン、イエロー、ブルー、グレー、ブラック、クリーム、ライラックなど

コート(coat): ワインレッド、ダークグリーン、オリーブグリーン、ブラウン、ブラック、ブルーなどのダークカラー

日中のボトムス

ブリーチ(breeches) :

  • 幅広い色のストッキングと合わせることができる
  • フォーマル…レザー・羊毛・南京木綿、あるいはサテン・ベルベット製のブリーチ+足元はパンプス(pumps)
  • アウトドア&乗馬…バックスキン(牡鹿レザー製)のブリーチ+足元はトップブーツ

パンタロン(pantaloons) :

  • ヘッセンブーツ(hessian boots)またはハーフブーツ(half-boots)と合わせて着用。
  • トップブーツ(top-boots)とは合わせない。

トラウザー(trousers):デイウェアとしてブリーチの代わりに着用できる

  • ヘッセンブーツ(hessian boots)、ハーフブーツ(half-boots)またはシューズ(shoes)と合わせて着用。
  • トップブーツ(top-boots)とは合わせない。
“Mr Darcy with him” – Mr. Darcy and Mr. Bingley. Austen, Jane. Pride and Prejudice. London: George Allen, 1894.

夕刻からの装い

夕刻以降のトップス

シャツ(shirts):フリル付きの白シャツ
ウエストコート(waistcoats):白または黒
コート(coat):ブルーが第一選択

夕刻以降のボトムス

ブリーチ(breeches):レザー・羊毛・南京木綿、あるいはサテン・ベルベット製

  • フォーマル…白の長靴下+パンプス
  • フォーマル…無地または、くるぶしに模様のあるストッキング+パンプス

トラウザー(trousers) :

  • シューズ(Shoes)を合わせる
“When the party entered” – Mr. Bingley, his two sisters, the husband of the eldest, and Mr. Darcy. Austen, Jane. Pride and Prejudice. London: George Allen, 1894, page 12.

特別な装い

フルイブニングドレス

フォーマルな舞踏会では盛装が求められました。

  • 洗いたてのシャツと慎重に結ばれたクラバット
  • 白のウエストコート
  • コートはブルーがポピュラー
  • ブリーチとストッキングとパンプス
  • 黒い三日月帽
Costume Parisien fashion plate No.608 from Year 13 (1804-1805)

宮廷

18世紀中ごろの豪華絢爛な装いが求められました。シングルブレストの刺繍入りコート、シルクまたはサテンのウエストコート、シルクまたはベルベットの膝丈ブリーチなどです。

A drawing room at St. James’s Palace in London: This engraving was published as Plate 76 of Microcosm of London (1810) In this context “drawing room” refers to a particular type of court function rather than to a type of room.

喪服

葬儀と喪中には黒を着用しました。帽子に黒のモスリンのタイを結ぶこともありました。

動画:コスチュームの構造をわかりやすく

次の動画では、下着からボトムス、シャツ、襟、クラバット、ウエストコート、コートまで摂政 / リージェンシー時代の紳士服を着る様子を解説付きで見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=J7g7XSHZtT8

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摂政 / リージェンシー 時代の女性の装いについて整理しました。社交に忙しい上流階級のレディは、1日に3~4度ドレスを着替えることがあったかもしれません。予定の.....

参考
1795–1820 in Western fashion
Category:1800s dresses
Georgette Heyer’s Regency World