z. 暗黒時代

ローマ撤退後のブリテン島、アーサー王伝説、アングロサクソン人の侵入

ケルト的文化や風俗の復活:ローマ撤退後のブリテン島(1)

ローマが撤退した410年以降、旧支配下域はローマの加護を受けられなくなり、混乱の時代を迎えます。この時代の文献はほとんど残っていません。市は崩壊し、建物には石よりも木が作られるようになり、ローマ侵攻以前のケルト的なヒルフォート(Hillfort)が目立つようになりました。

アングロ-サクソン人の侵入と定着:ローマ撤退後のブリテン島(3)

アングロ-サクソン人は、現在のデンマークや北ドイツやオランダに相当する地域から、北海を南へ渡ってきた人々でした。航海術に長け、過去何年ものあいだに沿岸地域を襲っては、彼らが住まうための土地を要求したり、ときには地元の人々を追い払うこともありました。 サクソン人はさらなる土地を求めて内陸に目を向けます。ブリトン人との抗争は避けられないものになりました。

アーサー王伝説が生まれた経緯:ローマ撤退後のブリテン島(2)

アーサー王は実在した王でしょうか。おそらく実在はせず、民間伝承から創作された架空の王だとするのが現在の歴史家による一般的な見解です。では、アーサー王の伝説はどのようにして生まれ、語り継がれてきたのでしょうか。現存する文献のなかで、アーサーの名が登場するもっとも古いものは9世紀の”歴史書”です。12世紀の”列王史”にさらに詳しく書かれ、すぐにアーサー王ロマンスとして物語化され、中世文学の核となりました。

《 本の紹介 》

オックスフォード ブリテン諸島の歴史〈1〉 ローマ帝国時代のブリテン島。前1世紀から5世紀まで、カエサルの来島から古代の終焉期までのブリテン島の実相を、政治・経済・環境など様々な視点から描き出す。

海のかなたのローマ帝国 増補新版 古代ローマとブリテン島。ハドリアヌスの長城など、ローマ時代の遺跡・遺物が多数現存するイギリス。

ケルト文化事典 古代から近現代まで、ケルト文化圏の歴史・文化・社会・宗教・ 文学・言語・美術について網羅的に解説。

ブリタニア列王の事績 ジェフリー・オヴ・モンマスの『ブリタニア列王史』を英雄叙事詩に翻案した幻のアーサー王物語。本邦初訳作品を読みやすい散文訳で。

ブリタンニア物語 皇帝コンスタンティヌスが撤退したブリタンニア属州では、残された帝国の人々と蛮族が争いを続けていた。

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