スペイン継承戦争を終わらせた「ユトレヒト条約」では、「フェリペ5世はスペイン王位を継ぐ代わりにフランスの王位継承権を放棄する」という約束でした。しかしフェリペ5世は、ルイ14世亡きあとのフランス王位を狙いはじめました。
これに警戒したオーストリア、イギリス、フランス、ネーデルラントの4ヶ国が同盟してフェリペ5世と対戦します。フェリペ5世はイギリスを牽制する目的で、ジャコバイトの支援も行いました。
1756年から1763年まで続いた七年戦争は、オーストリア継承戦争がのこした未解決の問題から生じました。まず勢力を伸ばしたいプロイセンと、失地( Silesia )の回復を求めるオーストリアが衝突します。それぞれをイギリスとフランスが援護して、両大国の覇権争いに発展します。
ハプスブルグ家はこれまで女性が継いだことがありませんでしたが、カールは長子相続法を制定し、諸国の承認もとりつけ、周到な用意をすすめていたので問題は起こらないと思われました。しかしいざカールが死去すると、プロイセンやフランスそしてバイエルンが異議を唱え、ハプスブルグ家の領土を横取りしようと画策します。これに対してマリア・テレジアを擁護する側にまわったのが、イギリス&ハノーファーとオランダです。
ルイ14世の孫フィリップはスペインの国王として継承権こそ認められましたが、領土という点では、イギリスがおおくの植民地を獲得する結果になりました。ユトレヒト条約は、イギリスが植民地帝国として躍進する重要な起点とみられています。いっぽうでフランスとスペインは結果的に、イギリス躍進の犠牲となったのです。