カントリーハウスとは
田舎に建っているお屋敷や宮殿
「カントリーハウス(country house)」という総称には、国王が所有する壮大な宮殿から、地方のつましいジェントリが暮らす小さな邸宅まで、幅広い建物が含まれます。ですが明確な基準はなく、じつはあいまいな呼称です。共通している点として…
- 田舎に建っていること
- 要塞ではないこと
- 1500年頃より後に豪邸 / 邸宅として利用されたこと
などが挙げられています。
カントリーハウスには、カントリーハウスたるべくして建てられたもののほか、旧修道院や、旧要塞、旧マナーハウスを増改築して転用したものがあります。
カントリーハウス と タウンハウス の違い
田舎に建っているか、都会に建っているか
「カントリーハウス」という言葉は、ロンドンなどの都市部に建つ「タウンハウス」に対比する言葉として使われ始めました。裕福な貴族やジェントリ(大地主)は、所有する広大な土地にお屋敷をもち、さらにロンドンなどの都市部にも邸宅をもっており、季節ごとに滞在場所を変えて暮らしていたのです。
タウンハウスがなくても、カントリーハウス
都市部にタウンハウスを構えるほど経済的に恵まれていないジェントリ層もいました。彼らにとっては所有する土地に建つ屋敷が唯一の住まいでしたので、カントリー(田舎)かタウン(都会)かを呼び分ける必要はありませんでした。しかし時代が下るとともに、田舎に建つお屋敷がカントリーハウスと呼ばれるようになりました。
カントリーハウス と マナーハウス の違い
マナーハウスは起源が中世の領主の館
「カントリーハウス」と混合されやすい言葉に「マナーハウス」があります。マナーハウスは、中世の封建領主の館です。中世は戦乱の世ですから 要塞化 されたマナーハウスもありました。
時代をくだると、マナーハウスの運命が分かれます。
- ケースA:増改築され快適なお屋敷として利用される
- ケースB:要塞のまま機能し続ける
- ケースC:捨て置かれて荒廃する
このなかで「ケースA:増改築され快適なお屋敷として利用され」たものだけを、カントリーハウスと呼ぶことができます。
「カントリーハウス」は元マナーハウスだけではありません。かつて修道院や城塞だった建物も、増改築され快適なお屋敷として転用されればカントリーハウスと呼ばれます。
名称から探るカントリーハウスの過去
建築当初は何に使われていた建物?
日本のように地震がなく、何百年も使える石造りの建物は、その利用目的が時代とともに変わることが珍しくありません。 建築当初は何に使われていた建物なのか、名称から察することができます。必ずというわけではありませんが、おおむね次のような感じと言えます。
- マナー(manor)…元 封建時代の「領主の館」
- キャッスル(castle)…元 要塞
- アビー(abbey)…元 大修道院
- プライオリ (priory)…元 小修道院
- ホール(hall)…中世のホールハウスから発展
- マンション(mansion)…カントリーハウスたるべくして新築された邸宅
ただし、建物の名称にルールはありません。後世に建てられたカントリーハウスに、由来と関係のない名前が与えられることもあります。その場合は歴史とは無関係です。
カントリーハウスの種類と建築様式
カントリーハウスの種類
田舎に建つ壮大な宮殿から小さなお屋敷まで、すべて「カントリーハウス」と総称できます。壮大なブレナム宮殿(Blenheim palace)も、小さなエバーストーンホール(Ebberston Hall)も、カントリーハウスです。
そこでカントリーハウスを便宜的に分類するため、建築の目的や状況によって次の3つ
- パワーハウス…国王や国王に次ぐ権力者の宮殿など
- マイナーカントリーハウス…中下層貴族やジェントリのお屋敷
- ビクトリアンハウス…19世紀にビジネスで富を築いた人たちが新改築したお屋敷
くわしくは次のリンク先にまとめました。
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大豪邸カントリーハウス
ロイヤルファミリーの大邸宅にも匹敵する規模のカントリーハウスを4つ紹介しています。
- ブレナム宮殿
- ノールハウス
- キャッスルハワード
- チャッツワースハウス
詳しくは下記のリンク先にまとめました。
関連記事 王室の豪邸にも匹敵するカントリーハウスを4つ紹介
抜粋文:目次 1. ブレナム宮殿2. ノールハウス3. キャッスルハワード4. チャッツワースハウス Advertisementブレナム宮殿 マールバラ公爵の本拠地であ.....
カントリーハウスの建築様式
カントリーハウスの建築様式は様々です。中世のものから、テューダー朝エリザベス時代の様式、あるいは後のゴシック様式やバロック様式、摂政時代に新築されたパッラーディオ様式、そこから少し時代を下ったビクトリアン様式などがあります。
長い歴史をもつカントリーハウスのなかには、ファサードやウィングに時代ごとの建築様式が混在しているものがあります。
詳しくは次のリンク先にまとめました。
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18世紀~19世紀初頭の建築家と造園家
富める人びとは、所有する豪邸とまわり景観を美しく仕上げることに時間とお金を費やし、邸宅までのアプローチと窓からの眺めをより印象的なものにしようと躍起になりました。18世紀~19世紀初頭のカントリーハウスや、それをとりまく敷地のレイアウトやデザインを手がけた著名な建築家と造園家は…
- ウィリアム・ケント(c. 1685 – 1748)
- ロバートアダム(1728 – 1792)
- キャパビリティ・ブラウン(1715 – 1783)
- ハンフリー・レプトン(1752 – 1818)
です。くわしくは下記のリンク先にまとめました。
関連記事 18世紀~19世紀初頭の建築家&造園家 – パッラーディオ様式と自然な美しい景観
抜粋文:18世紀~19世紀初頭、上流階級の富める人びとは豪華なカントリーハウスを所有し、そこに住んだり、季節ごとに滞在したりしました。所有する豪邸とまわり景観を美しく仕.....
参考
Townhouse (Great Britain)
Engish country house
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抜粋文:1. ブリックリング・ホール
2. ハットフィールド・ハウス
3. ホウカム・ホール
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