わたしたちが「イギリス」と呼んでいる国は、正式名称を「グレートブリテン王国および北アイルランド連合王国」といいます。4つの国が集まってできています。イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドです。
国名の変遷について
長い歴史の中で最も強かったのがイングランドです。中世のイングランド国王がウェールズを征服して併合し(1283)、近世のイングランド国王はアイルランドの国王をも名乗るようになりました(1542)。スコットランドとは攻防が続いていましたが、王族の婚姻を通じて親戚関係にありました。
処女王として知られるイングランド女王エリザベス1世は、自身の亡き後の王位を親戚にあたるスコットランド国王に譲りました。以後、スコットランド国王はイングランドに拠点を移して、3つの国※を治めることになります。
※3つの国…ウェールズはイングランドの一部とみなされたため、国の数としては3つ。またアイルランド王位は、イングランド王位に付随していた。
同一の君主を頂くことになった3国ですが、それぞれの国は独立した議会(政策の策定や施行)をもち、同じキリスト教でも教派が異なっていました。性格の異なる複数の国に、ひとりの君主が君臨するのは簡単なことではありませんでした。内戦や革命を経て、国王よりも議会が力を持つようになります。
やがてイングランドとスコットランドの議会や政府機関を合体することになり、国名も「グレートブリテン王国」に変わりました(1707)。ここにアイルランド王国が加えられて「グレートブリテン王国およびアイルランド連合王国」となりました(1801)。
これらの合体はイングランド議会が主導して行いました。スコットランド議会は不利な立場からしぶしぶ合意し、アイルランドに至っては強引に統一されたと認識されています。
20世紀前半にアイルランドが独立を果たしますが(1922)、アイルランドの北部はイギリスの一部として残りました。そのため国名が 「グレートブリテン王国および北アイルランド連合王国」 となり、現在に至っています。
なお近年では2014年に、スコットランドで独立を問う投票も行われています。