中世前期のイギリス(5世紀・6世紀・7世紀・8世紀・9世紀・10世紀)
       

5世紀ころからアングロ・サクソン人がブリテン島に侵攻し定住を始めます。

アングロ・サクソン人というのは、ゲルマン系の3つの部族”アングル人、ジュート人、サクソン人”の総称です。彼らは、現在のイングランドに相当するエリアに定着しました。アングル人が支配した土地だからアングランド⇒イングランドとなったようです。

アーサー王伝説では、ブリトン人のアーサーがアングロ・サクソン人の侵略を食い止めてブリテンの王になります。でも実際のところは、ブリトン人は現在のウェールズの西部とコーンウォール地方を支配するにとどまり、イングランドはアングロ・サクソンに支配されました。

1899年製アルフレド王像

ブリトン人とは、古来からローマの属州時代を経てブリテン島に住んでいた人々の総称です。彼らが生き延びたウェールズでは今でもなお、彼らの古い言語を大切にして、古い言い伝えが語り継がれているそうです。

6世紀~10世紀を「七王国時代」と呼んだりしますが、この七王国とはイングランド内に興ったアングロ・サクソン人の王国のことです。

現在のスコットランドに相当するエリアには、ローマに侵攻を諦めさせたピクト人が住んでおり、やがてアイルランドからきたスコット人と混ざってスコットランド王国の母体を築きます。

この時代は、バイキング襲来の時代でもありました。彼らは現在のノルウェーとデンマークから海を渡ってやってきて、略奪と破壊を繰り返し、やがてその地に留まるようになります。アイルランドのダブリンも、バイキングが基礎を築いた街です。

扉絵:Anglo-Saxon parish church at Escomb, County Durham, seen from east-southeast (C)図:This picture shows Alfred the Great’s statue at Winchester. Hamo Thornycroft’s bronze statue erected in 1899. (C)

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5世紀 アングロ・サクソン人の侵攻

West Stow Anglo-Saxon village, summer 2012. (C)
  • アングロ・サクソン人がブリテン島に侵攻する
  • アングロ・サクソン人の王国が作られる
  • アングロ・サクソン人は先住のブリトン人との戦いを経て、概ね現イングランドに相当する領域まで拡大する
  • ブリテン諸島に4つのエリアが形成される
    1. アイルランド…ローマが侵攻することはなかったが文化的影響は受けていた
    2. スコットランド…ピクト人が住んでいたエリア(後世にスコットが征服したことにより、この名称になる)
    3. イングランド…アングロ・サクソン人が征服したエリア
    4. ウェールズ…ブリテン人が生き続けたエリア(現在も古い言語、伝承が残る)

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6世紀 七王国時代はじまる

Heptarchy around 800 AD. Borders are approximate. (C)
  • 現イングランドに相当するエリアに、主要な7つの王国が現れ、いわゆる「七王国時代」が始まる
    1. ノーサンブリア王国: イングランド北東部/アングル人
    2. マーシア王国: イングランド中央部/アングル人
    3. イースト・アングリア王国: イングランド南東部/アングル人
    4. エセックス王国: イングランド南東部/サクソン人
    5. ウェセックス王国: イングランド南西部/サクソン人
    6. ケント王国: イングランド南東部/ジュート人
    7. サセックス王国: イングランド南部/サクソン人
  • 七王国以外にも多数の小国がイングランドに存在した
  • 596年 教皇グレゴリウス1世の命によりアウグスティヌスが布教のために約40人の修道士とともに派遣される

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7世紀 キリスト教会の建設

  • カンタベリーのアウグスティヌスが布教活動を行い、イングランドの諸王を改宗させる

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8世紀 バイキングの襲来

  • マーシア王がウェールズとの境界に壁を築く(オッファの壁)
  • 789年頃 ノルウェーとデンマークからバイキングの来襲と略奪が始まる

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9世紀 アルフレド大王

バイキングの進路
  • エグバートの率いるウェセックス王国がイングランドで最強となる
  • アイルランドからブリテン島に渡来し北西部に王国を建てていたスコット人のマカルピンが、バイキングやピクト人勢力を征服しアルバ王国を建国する(スコットランド王国の母体となる)
  • ウェールズ人はグウィネズのロドリー王によってまとめられ強さを誇っていたが、バイキングに敗れ小国へと分散
  • アルフレド王が治めるウェセックス王国が、対バイキング戦で一時劣勢の後に勝利しロンドンを奪還
  • アルフレド王がイングランドの一部をバイキングの領土することに合意。バイキングの領土はデーンロウと呼ばれ、ほぼ今日のヨークから南、ロンドン北方に至る地域に相当する。

図:Based on Stenton ‘Anglo-Saxon England’ chapter 8 and Hill ‘ An Atlas of Anglo-Saxon England’ p40-1 (C)

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10世紀 イングランド王国の誕生

  • ウェセックス王国の王アゼルスタンがデーンロウを奪回しイングランド全土を統一
  • ウェールズでは、ロドリー王の孫ヒウェルがウェールズの多くを支配し法を整えた
  • アイルランドでは、バイキングがアイルランドの東を侵略しており、ここをダブリンと呼んでいた

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11世紀 デーン人のイングランド王を経て…

  • デンマーク王がイングランド王を兼ねることになり、イングランドはデンマークに服従することになる
  • デンマーク王の死後、再びアングロサクソン人がイングランドの王になる⇒エドワード証聖王
  • 1066 エドワード証聖王の死後、ノルウェー王(デーン人)、ノルマンディ公爵、ウェセックス伯爵がイングランド王位を奪い合う

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