エドワード4世が急逝したため、息子エドワードは5世として12歳で即位することになりました。治世は78日間と短く、戴冠することもありませんでした。
エドワード5世は、ロンドン塔に幽閉されて消息を絶った王子として知られいます。死因も遺体も特定されていません。
エドワード5世
治世 | 1483年4月9日-1483年7月25日(0年78日) 護国卿:グロチェスター公爵リチャード |
継承権 | エドワード4世の息子 |
生没 | 1470年11月2日:ウェストミンスター修道院 1483年(12歳):ロンドン塔 |
家系 | プランタジネット家(Plantagenet) ヨーク系(York) |
父母 | & |
結婚 | ー |
子供 | ー |
埋葬 | ウェストミンスター修道院(Westminster Abbey) |
年表
1483 | エドワード4世が急逝 12歳の息子エドワードが5世として王位継承 |
1483 | エドワード5世、非嫡出であるとして廃位 叔父のグロチェスター公爵リチャードが、リチャード3世として即位 |
1483 | エドワード5世と弟リチャードがロンドン塔に幽閉され、数か月後に消息を絶つ |
おもなできごと
国王とは名ばかり、78日間の治世
エドワード5世は、先王エドワード4世の4番目の子供です。エドワード4世が亡命し、ヘンリー6世が復位していた期間に、ウェストミンスター修道院で生まれました。
エドワード5世は、父王エドワード4世の急逝にともなって、正式に王位継承しました。12歳でした。78日間の短い治世となり、戴冠することはありませんでした。
エドワード5世の治世は、護国卿( Lord Protector )に就いたグロチェスター公爵が支配しました。グロチェスター公爵は、先王エドワード4世の弟で、5世の叔父にあたります。エドワード5世を廃して( Titulus Regius )、自身がリチャード3世として王位に就きました。
エドワード5世と叔父リチャード(のち3世)
エドワード5世の父エドワード4世は人気の高い国王でした。しかし母であるエリザベス・ウッドウィルは、違いました。やや身分が劣る出自であることにくわえて、ウッドウィル家はランカスター派を支持して戦った一族であったため、ヨーク派のあいだで物議を醸しました。
また、幼いエドワード5世による統治への不安もあり、叔父リチャード(グロチェスター公爵・護国卿)を支持する声もありました。
エドワード4世が急逝したとき、息子エドワードはロンドンから離れた地方にいました。ロンドンに向かう道中、ストーニーストラットフォード(Stony Stratford)で叔父リチャードと落ち合いました。叔父リチャードはエドワード5世への絶対的な忠誠を公言していましたが、実際には王位の簒奪を計画していました。
ロンドン塔に幽閉されたプリンス
エドワード5世と弟リチャード( Richard of Shrewsbury )は「塔の中の王子たち( Princes in the Tower )」として知られています。厳重に護衛されてロンドン塔( Tower of London )※に入城した王子たちは、その後、消息を絶ちました。
※この時代のロンドン塔は「牢獄」としてだけではなく、「王室の居所」として利用されていた。
この王子たちの死に関しては、叔父リチャードが関わったとする説が有力です。しかし確実な証拠はでておらず、他の人物が主犯の可能性も捨てきれていません。
王子たちの死因
消息が聞かれなくなった王子たちについて、さまざまな噂や憶測が飛び交いました。最後に目撃されたのが1483年7月であったとされ、その他の証拠から、その後5-6週間は生きていたと考えられています。
可能性の高い説のひとつは「リチャード3世の命令を受けたジェームス・ティレル( Sir James Tyrrell )が王子たちを窒息死させた」というものです。リチャード3世を倒して王位に就いたヘンリー7世が、ジェームス・ティレルを拷問にかけてこれを聞き出したといわれています。ところがヘンリー7世は過去にジェームス・ティレルを厚遇していたことが知られていたので、王子殺害への関与を疑われることを恐れて、この事実を伏せておくことにした…とされています。
1647年に2人の子供と思われる遺骨がロンドン塔から発見されました。この遺骨はエドワード5世とその弟リチャードとして扱われ、ウェストミンスター修道院に埋葬されました。1933年にこの遺骨が再検証されたとき、これらの遺骨は完全でないことがわかりました。また動物の骨が混ざっていたと報告されています。さらなる調査のための許可は下りていないため、謎に包まれたままとなっています。
地図
ロンドン塔
参考
Edward V of England
Edward V
A Brief History of British Kings & Queens